鉄・アルミ・銅といった基幹素材となる金属のみならず、半導体のもとになるシリコン・シリコンカーバイド・その他のレアアース、様々な金属素材の製錬や製品製造にはどうしても高エネルギー(≒高温)が必要となります。その高エネルギー状態を作り出すのは電気ですが、その電気を熱に変えたり媒介するのが炭素であり黒鉛となります。

この黒鉛・炭素の製造には石油・石炭が主に原材料となりますが、これまでは原油の精製残渣や石炭のコークス化副産物として多く回収されてきました。ところが、例えば製鉄が高炉法から電炉法に変わるというような世界的な脱炭素の流れの中で、コールタールの発生が年々減少してきている状況にあります。

コールタールは1990年代には日本だけで200万トン以上生産されていた。

ー30年後の今125万トン程度

これまで国産品の黒鉛・炭素が日本の冶金産業を支えてきましたが、いよいよこの黒鉛・炭素というものは日本での高度冶金産業の維持・発展にとっては欠くことのできない資源ともいえるものとなってきています。

石油残渣はともかくコールタールは運送上でも100℃程度の温度で加熱・保温しながらでないと運べないという性質からそう簡単に外国から受け入れることができません。そうなると国内で不足する黒鉛・炭素製品は液体原料の状態ではなく黒鉛・炭素になった素材あるいは加工も終わった製品の形で輸入してくるしか手がなくなってきています。

とはいっても、黒鉛・炭素素材や製品を製造している国は高炉製鉄と石油精製の盛んな国・地域となってしまうことから、欧州(ドイツ・スペイン・イタリア等)、米国、中国、これからの可能性としてインドといったところに限られてしまいます。

ハイテク産業の隠れた鍵

今後の日本の産業の方向性から考えると、高度な合金鉄、金、銀、銅、アルミ、レアアース類、マグネシウム、チタニウム等々やその合金の製造にはこれらからも黒鉛・炭素が必要不可欠なものとなってくることでしょう。


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